「2012年9月」のブログ記事

札幌の税理士ブログ 不当な税務調査の典型的パターン

前回紹介した「川崎汽船事件」のように、「不当な税務調査」は残念ながら稀にございます。

今回は、事件までとは言わないまでも「これは明らかに不当だろう」という例を紹介したいと思います。


税務調査において、調査官に「これは間違っていますね」と指摘されたケースで、その指摘の内容や根拠に納税者が納得できない場合があります。

このような際には、お互い冷静に、意見の食い違いを埋めていくべきなのですが、その協議が平行線のまま進むことも少なくありません。


このようなケースでは、最終的に調査官も落としどころを見つけることができず、下記のような「威圧」をかけてくることもあります。


①「税務調査が長引きますよ」

経営者が嫌がる典型的な言葉です。

ただでさえ税務調査は納税者にとって嫌なものですから、ここから更に時間をとられると思うと、誰でも心が折れそうになります。

税務調査を不当に長引かせようとする(あるいはそのような脅しをかける)ことは、当然税務調査の不当性があります。


②「取引先の反面調査に行きますよ」

反面調査とは、納税者の取引先や銀行に対して税務調査を行うことです。

反面調査をされた取引先は当然驚きますので、今後の取引関係に悪影響を及ぼすことがあります。

そのようなことをちらつかせて、調査官が威圧してくることがあります。

反面調査は調査官の権利として法律上認められてはいますが、正当な理由は必要です(むやみやたらに反面調査を行うことは決して許されません)し、結果として納税者に不利益を与えることがあってはなりません。


③「修正申告しないのであれば、税額が増えますよ」

最後の殺し文句として「修正申告であればこの金額ですが、更正となると全部チェックしなければならないので、税額は増えます」と言ってくる調査官もいます。


これら調査官の威圧的な言動があった場合は、冷静に「今言った言葉は、私を威圧しているのですか?」と確認する必要があります。


「威圧と誘導」に屈しないためには、経営者としては、下記のポイントを知っておかなければなりません。


・税務調査はあくまでも任意であること

・質問検査権の範囲(むやみに国家権力を行使してはならない)

・更正と修正申告による税額等の違いは、法的には無い

・反面調査等で納税者が不利益を被った場合は、国家賠償法の適用も検討可能である

・脅しや脅迫は民法で禁止されている

・税務調査には最低限のルールがあり、そのルールを破るのは国家公務員法違反である


脅しに屈しないための理論武装も必要だ、ということです。

札幌の税理士ブログ 「調査官の態度が威圧的」として調査の処分取り消し

つい先日、衝撃的なニュースが流れました。

 

税務調査に関連する事件としては珍しく、新聞記事でも大きく取り上げられていましたので、すでにご存じの方も多いかと思います。

神戸にある「川崎汽船」という造船会社に税務調査が入り、その中で極めて不当な税務調査が行われたということで、争いになっていた事件です。


 

「大阪国税局が威圧調査 不当性認め所得隠し指摘取り消し」

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201209070058.html


 

各記事の一部を引用すると、下記のような内容です。


 

大阪国税局の担当職員が川崎汽船や関連会社の従業員らを聴取した際、

「脅すようなことを言われ、国税局の主張に沿う内容の確認書面に押印させられた」

「『このとおりに書け』と、国税職員が作った文案をそのまま自署するよう誘導された」

「『この回答は違う』『この会社は法人の体をなしていない』と怒鳴られた」

「一部事実に反する内容の回答を誘導尋問で引き出された」

「隣室の会議に支障があるような怒声を発した」

など威圧的な態度をとった。

大阪国税不服審判所はこの処分を取り消し、6億円が同社に還付された。

 

この事件の詳細はまだ公開されていませんが、主旨としては「法律の解釈論での争い」ではなく、「税務調査の手続き」に関する争いです。

つまり、税務調査というものの範囲を超えて、「威圧」された税務調査ということで、「不当」と判断されたのです。

ちなみに、税務調査に関連するこのような事件で、納税者側が勝つというのは、かなり珍しいものです。

 

こういう記事を読むと、「税務調査は怖いなぁ」と思ってしまうのですが、我が国は法治国家であり、かつ納税者は国民としての基本的人権を有しているのですから、こんなひどい調査は決して許されるものではありません。

この事件については大阪という土地柄の特殊性もあるでしょうし、実際ここまでひどい税務調査はほとんどありません。

しかし税務調査をしている調査官も人間ですから、その個人の性格などによっては、威圧的な態度をとる調査官がいるのもまた現実。

 

税務調査とはあくまでも、納税者の理解と協力を得て行われる「任意」の行為であって、税務調査においては、税務署(調査官)と納税者の立場は対等でなければなりません。

この点を勘違いしている(履き違えている)調査官がいれば、こちらから「言動には気を付けてください!」と主張しても全く問題ないのです。

 

このような事態において、税務署と納税者との間に立つのが税理士としての役割です。

納税者の皆さん、税理士をどんどん活用してください。

札幌の税理士ブログ 会社経営者が知っておくべき税務調査の知識 その9 ~ 税務調査官のノルマ ~

「税務署の調査官は、ホント絶対に追徴税額(お土産)を持っていこうとしますよね。」

税務調査を何度か経験したことがある社長なら、みんな思っていることでしょう。

 

ここで気になるのは、調査官のノルマです。

「車のディーラー営業マンに販売台数のノルマがあるように、調査官にも追徴税額のノルマがあるのかな?」と疑いたくなる気持ちはわかります。

 

さて、実際のところ、調査官に追徴税額のノルマはありません。

「今年は○百万円」の追徴税額を課してこい!」とは言われていないのです。

ただし、「税務調査の件数」のノルマはあります。

 

調査官は1年間(毎年7月~翌年6月)を通じて税務調査を行っていますが、その間に、30件程度のノルマを課せられています。

このノルマを達成できないと、上司に怒られてしまい、出世に響くのです。

1年間は52週ありますが、正月休みなどを除くと、働いている週は実質35~40週程度ですから、1人あたりの調査官で、およそ1週間に1件の税務調査をこなさなければなりません。

なぜ調査官に、税務調査の件数ノルマがあるのでしょうか。それは、税務調査の実地調査率を上げるためです。

 

「最近の税務行政の動向」

http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/shingi-kenkyu/shingikai/110303/shiryo/pdf/04.pdf

 

の6ページもある通り、国税は実調率(実地調査率)を公表しています。

実調率とは、税務調査をすべき全体件数(つまり会社の数)のうち、1年間でどれだけの税務調査を実際に行ったのか、を率で算出したものです。

 

この資料にもある通り、法人の実調率は昭和50年代をピークにほぼ年々下がっており、直近年度の実調率は4.6%となっています。つまり、100社のうち5社未満しか調査されておらず、1社あたりで平均すると20~25年に1回程度しか税務調査が来ない、というわけです(あくまでも平均の話です、実際は個々の会社の事情等によって変わります)。

これでは課税の公平性を守れません。なぜなら、税務調査にあまり入らないことがわかれば、真面目に申告・納税する人の数は減るからです。

そのためにも、調査官にそれぞれ税務調査件数のノルマを与えることで、実調率を上げようとしているのです。

札幌の税理士ブログ 「水平的」「垂直的」「複合的」多角化戦略とは

実は私、税理士のほかに行政書士も登録しております。

 

こう言うと「凄いですね!行政書士の試験も合格したんですね!」と勘違いしてしまう方が必ずいるので補足しますと、税理士資格を持っていれば無試験で行政書士登録できるんです。一生懸命行政書士試験を勉強して合格された方には少々申し訳ない気もしますが。

 

似たような制度は他にもありまして、たとえば税理士だけでなく弁護士・公認会計士・弁理士なども行政書士登録できますし、あと弁護士・公認会計士は、税理士登録することもできます。

 

そもそも私がなぜ行政書士登録したかといいますと、相続関係の仕事が増えてきたため、相続税申告ばかりでなく、遺産分割協議書の作成や公正証書遺言など相続業務の幅を広げようと思ったからです。

 

なので、私が行政書士として行う業務は相続だけで、他の分野(法人設立・許認可など)には一切手を触れておりませんでした。今までは。

 

が、ここ最近、色々と思うところがありまして、行政書士の他分野にも手を広げております。

まず現段階として、法人設立業務を先月から開始しました。開始してまだ1ヶ月少々ですが、もう既に数件の法人設立を手掛けております。

 

ここから先が税理士資格を持つ者の強みでございまして、設立後のアフターフォローとして最も重要な税務・会計の分野につきましても、顧問契約を結んで今後も長いお付き合いをさせて頂く、ということにさせて頂いております。有難い限りです。

 

何しろ行政書士業務は今のところ私一人だけの体制なので、いきなり手広く展開するのは少し無理がありますが、少しずつ体制を整え、近いうち(遅くとも年内)には許認可、経審、債権回収等のサービスも開始する予定です。


 

以上は前置きでございまして、本題に入ります。


さて、事業というものは常に成長し続けなければなりません。

成長といっても様々な定義があるとは思いますが、ここではあえて「規模の拡大」に的を絞ります。

 

事業を成長させるための戦略は、基本的には多角化戦略であり、

水平的多角化戦略

垂直的多角化戦略

複合的多角化戦略

の三つに分類されます。

 

水平的多角化戦略とは、自社の既存の技術やノウハウを活かして、既存の市場や顧客に対して新サービスを提供することです。

例えば居酒屋がランチサービスを行う、美容室がエステを併設する、というようなことです。

既存の経営資源を活用できますので、小資本ですぐに実行し、かつ早期に成果を獲得できる可能性も高いので、より事業を拡大したいとお考えの経営者様は、まずこの水平的多角化戦略を検討されることをお勧めします。

 

垂直的多角化戦略とは、ちょっと趣向を代えて、既存市場の川下や川上を攻めることです。

例えば農家がレストランを開業する、建設業者が自社物件を建てて不動産賃貸業を行う、というようなことです。

今までにないノウハウ等を必要としますので少々骨が折れますが、既存の事業に関連する分野でありますので、その新事業が軌道に乗れば、既存の事業にも好影響を及ぼす、という一挙両得な戦略です。

 

複合的多角化戦略とは、今までとは全く関連のない事業に進出することです。

これは非常に骨の折れることなので、よほど資金力に余裕のある経営者様以外には正直お勧めできません。

 

で、私の話に戻りますが、私が最近注力し始めた行政書士業務は、上記のうち垂直的多角化戦略に分類されるでしょう。

つまり、今までは他の専門家(行政書士または司法書士)に会社設立を依頼したお客様が、その後私に対して「税務顧問をお願いします」という段取りで進むのが通常でありましたが、そこから私がより川上に行くことによって「会社設立も私がやりますよ」ということになりますので、お客様に対して川上から川下まで全てワンストップでフォローすることができる、というわけです。

これはお客様にとっても好都合(あちこち別のところに相談に行かなくて済む)ですし、私としても仕事が増えますので、一挙両得です。

 

自社の経営がなかなか成長せずにお悩みの経営者様にとって、この私の事例が少しでも参考になれば幸いです。

まずは「水平」から、その後「垂直」という順序で多角化戦略を検討するのがポイントです。

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