「2013年2月」のブログ記事

札幌の税理士ブログ 初心者でも分かる就労支援会計入門講座 その7 ~ 就労支援事業の人件費科目 ~

就労支援事業の人件費は、下記の勘定科目で構成されております。

 

1.利用者賃金

2.利用者工賃

3.就労支援事業指導員等給与

4.就労支援事業指導員等賞与引当金繰入

5.就労支援事業指導員等退職給付費用

6.法定福利費

 

まず大きく分けて、二種類の人が登場します。

利用者、そして就労支援事業指導員等です。

 

利用者の定義については、以前も説明した通りです。

就労支援サービスを利用する当事者達、つまり障害者達のことです。

 

就労支援事業を行う事業所で働く利用者に対して支払うお金、

それが「利用者賃金」「利用者工賃」です。

 

ところで、なぜ「賃金」「工賃」なのでしょうか?

一般世間的には似たような意味を持つ言葉ですが、

具体的にどのような違いがあるのでしょうか?

 

以前説明した通り、就労支援事業には

 

1.就労移行支援

2.就労継続支援

 

の二種類が存在し、更に

 

3.地域活動支援センターⅢ型

 

も広義的に含まれます。

 

上記のうち、更に就労継続支援は、

 

2a.就労継続支援A型

2b.就労継続支援B型

 

の二種類が存在します。

 

A型は、事業所と利用者との間で雇用契約を締結する支援のことです。

つまり労働基準法等の適用があり、利用者はその事業所で働くことによって、最低賃金以上のお金を受け取ります。

そのお金とはつまり雇用契約に基づく労働の対価、つまり賃金(=お給料)です。

 

B型は、上記以外の支援のことです。

つまり雇用契約に基づかない労働形態なので、最低賃金等の適用はありません。

利用者はその事業所で働くことによって対価を得ますが、その対価は雇用契約に基づくものではありませんので、賃金という用語は使われません。工賃、という用語がつかわれます。

 

察しの良い方はもう既にお分かりかと思いますが、つまり就労継続支援A型は「利用者に対して『賃金』を支給する事業」です。従って「利用者賃金」という勘定科目を使います。

A型以外の事業(B型、就労移行支援など)は「利用者に対して『工賃』を支給する事業」です。従って「利用者工賃」という勘定科目を使います。

 

賃金は、所得税法上、給与所得として扱われます。

つまり所得税を源泉徴収し、年末調整する必要があります。

また事業所側としては、消費税法上は課税対象外取引となります。

 

工賃は、所得税法上、雑所得として扱われます。

つまり源泉徴収などをする必要はなく、利用者各自が確定申告する必要があります。

(もっとも確定申告するほど工賃を稼げないのが実情でしょうが・・・)

また事業所側としては、消費税法上は課税仕入れ取引となります。

 

このように、賃金と工賃、言葉としては似ておりますが、その意味するところは全く異なるのです。

 

次回は、もう一人の登場人物、就労支援事業指導員等について説明します。

札幌の税理士ブログ 初心者でも分かる就労支援会計入門講座 その6 ~ 障害福祉サービスの指定基準 ~

障害者自立支援法に基づく福祉サービスは、原則として都道府県の指定(いわゆる「許認可」のことです)を受ける必要があります。

 

指定を受けるためには、当然ながら様々な基準を満たさなければなりません。

指定基準は、大きく次の三つに分けられます。

 

1.人員基準

2.設備基準

3.運営基準

 

人員基準とは、そのサービスを提供するための人員配置を定めたものです。「これぐらいの定員規模の事業所を運営するならば、少なくともこれぐらいの人員を配置してくださいね。」というものです。

人員配置が手厚ければ手厚いほど(その人員の業務レベルにもよりますが・・・)利用者に対するサービス提供のレベルも手厚くなりますが、その一方で人件費がかさみますので、経営的には圧迫されます。

 

今の時代、特に障害者自立支援法が施行されて以降は、障害福祉事業と言えども経営センスを要求される時代に突入しております。自社の収益を圧迫しない範囲で、かつ利用者に最大限のサービスを提供するための人員配置をどうすべきか、経営者のセンスが試されます。

 

設備基準とは、そのサービスを提供するために必要な設備を定めたものです。「このサービス運営するならば、少なくともこれぐらいの設備を確保してくださいね。」というものです。

これまた当然ではありますが、最低基準を満たせば良い、というものではなく、たくさんお金をかけてもっと素敵な設備にすれば、利用者の満足度も向上することでしょう。

 

ここで勘違いして頂きたくないのは、というか現場の方々は私以上に存じてらっしゃることではありますが、ただ単にお金をかけて見栄えが立派なモノを作ればよい、というものではありません。あくまでも利用者視点で、利用者が利用しやすいモノを、あるいは利用者の安全を守るためのモノを、という意味です。

 

障害福祉ではなく介護福祉の事例ですが、グループホームが夜中の火事で死者を出した、という痛ましい事故が何度か起こってます。指定基準は当然満たしていたのでしょうが、夜中の人員配置、消火設備など、実際のところは大きく不足していた、ということなのでしょう。

 

ですから、ただ単に基準を満たせばよい、というものではありません。

指定基準は、あくまでも最低ランクの基準に過ぎません。

 

運営基準とは、そのサービスを提供するために必要な運営規定の整備、利用者の状況把握や記録、利用者負担額の受領方法などを定めたものです。


 

さて、これらの基準を満たして都道府県の指定を受けないと、障害者向け福祉サービスをすることが全く出来ないのか、といいますと、決してそんなことはありません。

要は、指定を受けることによって、自立支援法の制度に基づく介護給付費等の支給を国から受けられますよ、ということなのです。つまり利用者の負担額が減るのです。

 

逆にこの指定を受けない事業所は、国からの給付費が入ってきませんので、利用者が利用料を全額負担することになります。医療でいうところの自費診療みたいなもんです。

 

そういう無指定の事業所が果たして危ない事業所なのか、といいますと、そんなことはありません、と断言しておきます。例えば欧米で開発された自閉症者に対する最高級の療育プログラムを提供している会社を私はいくつも知っております。当然、利用者側の金銭負担は高いのですが、やっている内容自体は、指定を受けた通常の児童デイサービス事業所顔負けです。

 

ちょっと話が脇道に逸れてしまいましたが、障害者向けサービスには色々あるんですよ、ということで。

このシリーズでは、あくまでも指定基準を満たした就労支援事業所を対象として引き続き解説を続けていきます。

札幌の税理士ブログ 初心者でも分かる就労支援会計入門講座 その5 ~ 就労移行支援とは ~

前回は、障害福祉サービス全体における就労支援事業の位置付けを学びました。

 

就労移行支援事業は、主に

 

1.就労移行支援

2.就労継続支援

 

の二種類が存在し、更に

 

3.地域活動支援センターⅢ型

 

も広義的に含まれる、というところまでを解説しました。

 

今回は、そのうち就労移行支援についてもう少し詳しく解説します。

 

就労移行支援とは、一般企業への就労を希望する障害者に対して、その就労に必要なスキル等を習得させるための支援です。

 

このサービスを利用できる者(つまり利用者)は、「一般就労を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる65歳未満の者」です。

 

一般企業への就労移行を前提としておりますので、長期間サービスを受けることはできません。24ヶ月以内の利用が目安となっております。

 

利用者は、所定の利用料(原則1割、ただし所得に応じて減額または免除あり)を事業所に支払います

 

24ヵ月後には一般企業に就職することを目指しておりますので、それに合わせたカリキュラムが組まれることになります。

まず最初は基礎体力作り、挨拶など礼儀作法、職場マナーなど基本的な訓練。

事業所内の掃除、ミーティングなど集団行動の訓練。

パソコンなどを利用した各種専門スキルの習得。

 

そして一般企業に出向き、実際の現場で労働体験することもあります。

と同時に就職先を探して採用して貰う必要がありますので、履歴書の作り方、面接の受け方なども訓練し、障害者の雇用に理解のある一般企業を回って就職活動をすることになります。

 

このカリキュラムの中で、利用者が働くことによって工賃を受け取ることが有り得ます。

この部分の事業活動が、いわゆる「就労支援会計」の出番となります。

 

ところで、なぜ「工賃」という用語を使うのでしょうか?

実は、ここが非常に重要なポイントとなります。

 

このサービスの利用者は、あくまでも利用者であって、その就労移行支援を行う事業所に雇われているわけではありません。つまり雇用契約を結んでおりません。

ですから労働基準法などの適用は無く、最低賃金保証も有りません。

 

利用者が受け取るお金は、お給料ではないのです。

だから「工賃」という用語を使います。

 

利用者側にとって、これは所得税法上、雑所得としての扱いを受けます。

給与所得ではありません。雇用契約に基づく労働対価ではありませんから。

つまり源泉徴収、年末調整をする必要はなく、利用者各人が確定申告することになります。

ただ実際は、さほど高い工賃を貰えるケースは非常に稀だと思われますので、確定申告をする必要は無いケースが殆どでしょう。

 

まとめますと、

利用者側のお金の流れとしては、

 

1.就労移行支援事業所に利用料を支払う(所得に応じて免除有り)

2.事業への従事により工賃を受け取る(ただし最低賃金保証の対象外なので

  小額であることが多い、もし多額の工賃を稼いだ場合は確定申告する)

 

ということになります。

言うまでも無く、事業所側のお金の流れは、これと全く逆です。

 

長くなりましたので、次回に続きます。

札幌の税理士ブログ 初心者でも分かる就労支援会計入門講座 その4 ~ 障害福祉サービスの全体像 ~

さて今回は、障害福祉サービス制度の全体像、そしてその制度における就労支援の位置付けについて解説します。

 

現在、障害者自立支援法という法律に基づいて各種サービスが体系作られておりますが、今年4月から障害者総合支援法という法律に名称変更し、その体系が若干変更されます。

 

障害者総合支援法に規定するサービスは、まず大きく次の二つに分けられます。

 

1.自立支援給付

2.地域生活支援事業


1の自立支援給付は、全国一律の内容です。

自立支援給付は、更に

 

1a.介護給付

1b.訓練等給付

 

に分けられます。

 

1aの介護給付は、主に次のようなサービスがあります。

 

居宅介護(自宅で、入浴、排せつ、食事の介護等を行います)

重度訪問介護(自宅で、重度の障害者に対して生活の介護等を行います)

同行援護(視覚障害者の移動を支援します)

行動援護(自己判断能力の劣る障害者の行動を支援します)

短期入所(ショートスティ・居宅介護者の休息等のため、施設等で一時預かります)

etc...

 

1bの訓練等給付は、主に次のようなサービスがあります。

 

自立訓練(障害者の身体機能や生活能力を向上させる訓練を行います)

就労移行支援(一般企業の就職を希望する者に必要な訓練を行います)

就労継続支援(一般企業の就職が困難な者に働く場を提供します)

共同生活援助(グループホーム・夜間や休日の共同生活する場を提供します)


 

2の地域生活支援事業は、市町村または都道府県が独自に創意工夫し、その地域に見合ったサービスを提供するものです。

主に次のようなサービスがあります。

 

相談支援事業(障害者等との連絡・相談、各機関との連携調整等を行います)

移動支援(移動困難な障害者の移動を支援します)

地域活動支援センターⅠ型(専門職員が連携調整、普及啓蒙活動を行います)

地域活動支援センターⅡ型(在宅障害者に生活の介護等を行います)

地域活動支援センターⅢ型(小規模作業所で障害者に働く場を提供します)


 

・・・

 

上記のうち、「就労移行支援」「就労継続支援」が、いわゆる就労支援事業と呼ばれるものです。これらはいずれも、障害者に働く場を提供する(=障害者に賃金・工賃を支払う)サービスである、という部分で共通しております。

これらのサービスにおいて実施される事業が、つまり就労支援会計基準の適用対象となります

 

更に広義的には、地域活動支援センターⅢ型も障害者に就労の場を提供する事業でありますから、就労支援事業の一種と考えて差支えないでしょう。

 

次回は、就労移行支援と就労継続支援について、もう少し詳しく解説します。

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