「2013年3月」のブログ記事

札幌の税理士ブログ 初心者でも分かる就労支援会計入門講座 その11 ~ 経費の区分について その2 ~

経費の按分について。

 

前回は「収入額で按分」する考え方を説明しました。

今回以降は、更に別の方法を何回かに分けて説明します。

 

今回説明するのは、面積割合で按分する方法です。

 

例えば、就労継続支援A型の指定を受ける際の「設備基準」は、「訓練・作業室、相談室、洗面所、便所及び多目的室その他運営上必要な設備を設けなければならない。」となっております。

 

つまり、少なくとも

 

1.訓練・作業室

2.相談室

3.洗面所

4.便所

5.多目的室

6.その他運営上必要な設備

 

以上6つのスペースがそれぞれ存在するわけです。

(ケースによって省略できるものがありますが、ここでは割愛します。)

 

上記のうち、まず1については「就労支援事業」となりましょう。

そして2については「福祉事業」、3~5については大体「福祉事業」「就労支援事業」との共用となりましょう。

6についてはケースバイケースですが、支援員が総務・事務などを行うスペースについては「福祉事業」となりましょう。

 

このように、図面を見ながらそれぞれ占める面積の割合を算出します。

 

この面積按分が使える経費は、例えば次のようなものです。

 

1.地代家賃

2.水道光熱費

3.内部造作などの減価償却費

4.固定資産税

 

なお、例えば一つの場所で複数の就労支援事業を行っているケースがあります。

このような場合は、更にそれぞれの事業ごとに経費を按分する必要が生じます。

少々面倒ですが、まず上記の面積割合で「就労支援事業」「福祉事業」にザックリ按分し、その後に「利用者数」「収入額」など別の方法で「A事業」「B事業」というように按分していきます。

つまり複数の按分方法を併用することになります。

札幌の税理士ブログ 初心者でも分かる就労支援会計入門講座 その10 ~ 経費の区分について その1 ~

人件費に限らず、各部門の経費をどのように振り分けるべきか、非常に悩ましい問題です。

 

下記URLを参考として区分すべき、と前回申し上げましたが、

 

介護保険の給付対象事業における会計の区分について


実際のところ、これを読んでもなかなかピンとこない、というのが皆様の実感だろうと思います。

 

そこで現実的な具体論に入ります。

 

まず一つ目の方法として、収入額で按分する、という方法があります。

税務上も認められている方法であり、実務上も極めて簡単なので、もっともオーソドックスな方法でありましょう。

 

なぜ税務上認められているかと言いますと、税法の考え方の一つとして「担税力」というものがあります。つまり税金を支払う能力、という意味です。

税金を支払うことが出来る能力が高い人に、率先して税金を支払って頂く。これが我が国の税法の根本的思想です。例えば一般個人が支払う所得税は、その所得が高ければ高いほど、税率が高くなります。つまりたくさん儲けた人はたくさん税金を支払う(そうでない人は少しだけ支払う)という仕組みになっておりますし、相続税は、基礎控除額というものを設け、その基礎控除額を超えるほどたくさん財産がある場合に限り税金が発生する、という仕組みになっております。

 

話を元に戻しますと、収入額で経費を按分する、という方法は、つまり「収入がたくさんあるということは、それだけ経費をたくさん支払う能力が高い、ということですから、収入が高い部門に経費を多く負担してもらっていいですよ。」という考え方に基づくものです。

 

ただし、この方法には落とし穴があります。

方法としては非常に単純明快で簡単ではありますが、それが本当に実情と合っているかどうかは全く別問題です。

だって、少ない経費でたくさんの収入を稼ぐ商売はありますし、たくさん経費を支払っても全く収入が上がらない商売だってあります。

そのような事情を一切無視して、ただ単に収入額で按分する、というのは余りにも強引過ぎるのではないか、という考え方もありましょう。

 

そこで、他の按分方法もミックスしたうえで、どの方法をチョイスするかをその経費ごとに判断し、最終的にどうしても適当な按分方法が見当たらない、という場合に収入額で按分する、という順序を取った方がよろしいのではないかと思います。

札幌の税理士ブログ 初心者でも分かる就労支援会計入門講座 その9 ~ 就労支援事業の人件費科目3 ~

人件費の続きです。

 

今回は、法定福利費について。

法定福利費とは、法律で定められている福利厚生費用のことです。具体的には「社会保険料」と「労働保険料」のことであり、それぞれ事業所側が負担すべき額と、働く人側が負担すべき額(つまり給与から差し引かれる額)に区分され、そのうち事業所側の負担部分が法定福利費、つまり会社の経費となります。

 

自立支援法に基づく人員基準を超えた人員配置をする場合、福祉部門と就労支援部門それぞれに法定福利費が生じることになります。

預金通帳から引き落とされる社会保険料を、それぞれの部門に振り分ける(区分する)必要があります。

さて、どうやって按分するのでしょうか?

 

法定福利費に限らず、双方の部門に共通して生じる費用をどのように区分するかは、とても重要であり、かつ面倒な問題です。

 

その際において判断基準となるのは、これです。

 

介護保険の給付対象事業における会計の区分について


それぞれの費用を按分する方法が定められております。

 

例えば法定福利費など人件費については、原則として「勤務時間割合」により区分することとされております。

その原則によることが困難な場合は、例外として「人員配置割合」などで区分することが認められております。

 

法定福利費のうち、まず社会保険料については、それほど難しく考える必要はないでしょう。それぞれの人員に支給する給与の額に応じて社会保険料が決まりますので、それに応じて区分すれば良いだけの話です。

 

労働保険料についても、それぞれの人員の年間給与額の合計などに応じて年間保険料が決まりますので、上記と同じ要領で区分すれば良いでしょう。

 

最初の段階で、区分する基準をしっかりと定めておけば、区分すること自体はさほど難しいことではありません。面倒がらずに、しっかりとやりましょう。
 

札幌の税理士ブログ 初心者でも分かる就労支援会計入門講座 その8 ~ 就労支援事業の人件費科目2 ~

さて、今度は就労支援事業指導員等について。

 

以前の回において、自立支援法に基づく福祉サービスは、原則として都道府県の指定を受ける必要があり、その指定を受けるためには①人員基準、②施設基準、③運営基準の三つを満たす必要がある、と説明しました。

 

上記基準のうち、人員基準についてもう少し詳しく解説します。

就労継続支援B型を例にとりますと、次のような人員基準となっております。

 

1.管理者

2.サービス管理責任者

3.職業指導員、生活支援員

 

まず管理者について。

つまり事業所を統括する立場の人です。事業所全般の管理・指揮命令を行います。

 

サービス管理責任者について。

利用者の個別支援計画策定や状況把握・適切な支援実施、他従事員への指導・助言を行います。

業務の運営に支障がない場合に限り、管理者等との兼務が可能です。

 

職業指導員・生活支援員について。

これらの明確な業務内容は法律上明記されてませんが、まあ名称通りと考えてよろしいでしょう。

それぞれ最低一人以上、常勤換算で利用者数を10で割った数以上を配置する必要があります。

 

本当はもっと細かい基準があるのですが、まあ大体のイメージはこんな感じです。

つまり、「最低これだけの人員を配置しなさいよ」という基準なのです。

 

これらの人員に対して支払うお給料は、基本的には自立支援法に基づいて国から支給される障害福祉サービス費、および利用者負担分によって賄われます。つまり就労支援事業でいうところの「福祉事業部門」における人件費となります。

 

しかし、上記基準を超えて、もっと沢山の職業指導員やら生活支援員など利用者をサポートするスタッフ、あるいは事業自体をもっと活性化させるための営業マンなどを雇用する場合はどうなるのでしょうか?

 

そのような、やる気満々のバリバリ熱血パワーな事業所に対して、私は心から拍手喝采を送りたいと思います、個人的には。

しかし、残念ながら国の制度はそこまで手厚く助けてはくれません。

そのような人員基準を超える人員を雇用する場合は、あくまでも就労事業から生じる収入で賄って下さいよ、ということになるのです。

 

つまり、そのような人員基準を超えるスタッフのことを「就労支援事業指導員等」といい、福祉事業ではなく就労支援事業の人件費として認識することになるのです。

 

これら指導員等に対して支払う給与は「就労支援事業員等給与」となり、夏冬に支払うボーナスの月割り分は「就労支援事業員等賞与引当金繰入」となり、いずれ退職時に支払う退職金の月割りまたは年割り分は「就労支援事業員等退職給付費用」となります。

 

これらの人件費分を稼ぐのは、はっきり言って楽じゃないです。

楽じゃないどころか、ものすごくキツイです。就労支援事業を、単なる障害者の支援としてではなく、ビジネスとして考えて行動する必要があります。つまり一般社会の事業会社と対等に勝負することを視野に入れなければなりません。

 

確かにキツイですが、このレベルまで達すると、就労支援事業はがぜん面白くなります。

就労支援事業所が、一般会社との経済競争に打ち勝つなんて、痛快じゃありませんか!

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