「2015年9月」のブログ記事

札幌の税理士ブログ 決算書の簡易セルフチェックの方法 ...財務目線=金融機関目線で自社の決算書を確認してみましょう

金融機関は「決算書」を拠り所に融資審査を行います。
中小企業の場合、税務目線で作成されることが多い決算書ですが、金融機関は税務署ではありませんので、「税金が正しく計算されているか。」ではなく、「貸したお金が本当に返ってくるか。」という視点で見ています。
よって、税務上は正しい決算書であっても、提出された決算書をそのまま分析するのではなく、財務の目線で修正したうえで分析を行います。

下記にセルフチェックの手順をご紹介します。
すべての金融機関が必ず下記の手順で診断している訳ではありませんが、基本的な考え方としてご理解ください。


1.損益計算書を修正します。

◆ 減価償却不足の修正
減価償却の未計上は税務上問題ありませんが、利益が正しく計上されないため、財務上は必ず計上します。
よって減価償却不足がある場合、「税引き後利益-償却不足額」で利益修正を行います。

◆ 役員報酬の修正
利益を大きく計上するために役員報酬を下げるなど、役員報酬は利益の調整弁になりやすい項目です。
役員報酬額を実際に必要な生活費よりも過小に計上している場合は、「実際に必要な生活費(※360万円程度)-帳簿上の役員報酬額」を税引き後利益から差し引きます。
反対に実際に必要な生活費以上の役員報酬を得ている場合は、「帳簿上の役員報酬額-生活に必要な生活費(※800万円程度)」を税引き後利益に加算します。

※金額はイメージしやすいように例示したものです。あくまで
 も参考程度とお考えください。


2.返済能力を診断します。(診断その1)

修正した損益計算書を基に返済能力を診断します。
企業の返済能力は、「修正後の税引き後利益+減価償却費」で求められます。
この値がプラスであれば、第1段階の診断はクリアです。
マイナスであればプロパー融資を受けるのは難しくなります。


3.借入過多に陥っていないかを診断します。(診断その2)

返済能力を確認したら、次は借入額が返済能力に見合っているかを診断します。
「(金融機関からの借入額-現預金)÷(税引き後利益+減価償却費)」で求められる値が、「10」未満に収まっていれば、新たに融資を受けられる可能性が高まります。
結果が10以上となった場合、新たな借入は難しくなります。
但し、あくまでも簡易診断ですので、正式な算式に当てはめるとクリア出来ている可能性もあります。
個別でお問い合わせください。


4.貸借対照表を修正します。

◆ 不良資産の修正
資産の中から実際は価値がないものを減算します。
例えば、回収不能な売掛金や貸付金、不良在庫、使途不明な仮払金等は減算の対象です。
仮に販売先が破産を申し立てた場合、税務上は破産の手続きが完了するまで資産に計上しておかなくてはなりませんが、実態の回収見込みは殆どないため、財務上は減算する必要があります。

◆ 返済不要な負債の修正
社長個人からの借入金など、差し迫って返済が不要なものは負債から減らします。


5.安全性を診断します。(診断その3)

倒産しにくい会社かどうかを、「自己資本」で判断します。
この場合も、修正後の貸借対照表を基に、「修正後の資産-修正後の負債」で自己資本の額を算出します。
診断その1、その2の結果が良好で、この値もプラスであれば、新たな融資を受けられる可能性は非常に高いと考えられます。


以上3つの診断結果はいかがだったでしょうか。
ひとつでもクリアできていない項目があれば、財務面に問題を抱えていることになります。
お早めにご相談ください。

札幌の税理士ブログ 売上高・固定費・粗利益率の目標設定、それにリンクする月次の資金繰りの推移の把握

単純でありながら、効果の大きい計画の策定と進捗管理の方法をご提案いたします。
導入をご検討ください。


経営の方向性を決める時に意識すべき指標は以下の3つです。

指標1:売上高をどうするのか?
大きく伸ばすのか?
少し伸ばすのか?
横ばいか?
少し落ちることを容認するのか?
大きく落ち込むことを想定するのか?

指標2:固定費をどうするのか?
大きく膨らむのか?
少し膨らむのか?
横ばいか?
少し絞るのか?
大きく絞るのか?

指標3:粗利益率をどうするのか?
粗利益率を引き上げるのか?
現状維持か?
粗利益率の低下を容認するのか?


この3つの指標をどうコントロールするのか?
これこそが経営(管理)の1丁目1番地です。
この3つに対する近未来の目標は必ず持ってください。

これらの指標は、それぞれが経営の方向、行動の指針を示しています。


売上を増減させようとする行為と、固定費を増減させる行為、粗利益率を向上または低下させる行為は、そのために行う行動の指針が変わってきます。

・売上を我武者羅に取りに行く行為は、固定費を膨らませる、
 または、粗利益率を低下させる結果を伴いがちです。
・逆に、粗利益率を向上させる行為は、売上高の低下を招きが
 ちです。

一長一短を理解しながら、その推移を把握しながら、その程度加減(アクセルとブレーキを踏み分ける)の調整が必要です。
これこそが日常の経営そのものです。
一方向のみに長期間舵を取りすぎてしまうと、大きなロスを招きかねません。


様々な経営方針が想定されます。

○経営者が伸ばしどころと判断する時…
 売上増・固定費増・粗利益率維持(または向上)、この方針
 で進めます。
○経営者が守りどころと判断する時…
 売上横ばい・固定費維持(または、固定費削減)・粗利益率
 維持(または向上)、この方針で進めます。
○経営者が後退局面と判断する時…
 売上減・固定費減・粗利益率維持(または向上)、この方針
 で進めます。

貴社の経営の方向性は、概ね、上記の三パターンの内の上位の二パターンでしょうか?


経営上のミスは以下のパターンです。

○売上高を大きく伸ばそうと固定費の増加を先行して行うも、
 固定費の増加を吸収できるほどの売上の増加を達成できず、
 収益が悪化してしまった。結果、資金繰りも悪化した。
○売上高の増加を優先するあまり、過度に粗利益率が低下して
 しまい、収益が悪化してしまった。結果、資金繰りも悪化し
 た。
○売上高の減少を容認しているにも関わらず、固定費の削減が
 できずに収益が悪化してしまった。結果、資金繰りも悪化し
 た。
○長期間かけて徐々に売上高と粗利益率が低下してしまう。
 それに応じた固定費の削減が出来ずに、収益も徐々に悪化し
 てしまった。結果、資金繰りも悪化した。

上手く行かないケースは概ね想定できます。
管理すれば早期の発見、早期の対応が可能です。
収益と資金繰りを致命的に悪化させてしまってからでは手遅れです。
苦労します。


利益とキャッシュフロー(※月次の資金繰り表)による管理
 が最も容易で有益です。

◆社長の指針を売上高・固定費・粗利益率の3つで整理します。
例1:売上高+5%、固定費+3%、粗利益率+1%
例2:売上高+0%、固定費+2%、粗利益率+3%
例3:…

◆上記の仮説、例1、例2、例3…から導き出される、結果と
 して想定される利益とキャッシュフロー(※月次の資金繰り
 表)を勘案しながら、近未来の計画を立案し、月次単位でフ
 ォローします。さらに、必要な金融機関対応は早め早めに行
 います。

札幌の税理士ブログ 自社の財務戦略を考える ... 資金調達は一発勝負ではありません

「銀行さんに融資を申し込むのがいつもギリギリになります。支払期日が迫って来る中で、融資が出なかったらどうしよう。何度冷や冷やしたことか・・・」

資金調達で慌てなくて済むよう、財務戦略を持ってはいかがでしょうか。


財務戦略とは、どれぐらいの資金が、なぜ、いつ頃必要なのかを事前に把握し、どれぐらいの資金を、どこから、どうやって調達するかを決めることです。
財務戦略を立案・実践するためには、財務に関する知識や経験が必要です。
まずは、貴社の財務レベルをチェックしてみましょう。

□ 今期、どれぐらいの資金調達が必要か分かっている。
□ 日本政策金融公庫、信金、地銀、メガバンク、ベンチャー
  キャピタル・・・各金融機関の特性を熟知しており、どの
  金融機関から調達するのが最善か分かっている。
□ 短期借入、長期借入、資本性ローン、社債、リース、出資
  ・・・調達の種類と特徴を熟知しており、どの方法で調達
  するのが最善か分かっている。
□ 金融機関の考え方を熟知しており、金融機関が評価するポ
  イントを分かっている。
□ 融資を受けやすくなる資料の作り方が分かっている。


いかがでしょうか。
チェックの数が少ない場合は財務レベルに改善の余地があります。
業績が落ち込めば、途端に資金調達が難しくなる可能性がありますので、次の財務戦略をおすすめします。


■ 中小企業に適した財務戦略

1.調達目標額の決定
必要調達額の算出が面倒であれば、「借りられるだけ借りる。」ことを目標にしてはいかがでしょうか。
乱暴にも聞こえますが、業績が落ち込んだ時に金融機関は助けになりません。
自分の身は自分で守らなくてはなりませんので、有事に備えてキャッシュを余分に持っておく意味があります。
また、金融機関は、貴社にとって適正と思える借入額を超えて融資はしませんので、上限一杯まで借りておくのは、ある意味合理的な考えです。

2.調達先の選定
調達先の選定基準は、「最も多く貸してくれる金融機関」です。
銀行の知名度や、多少の金利差に惑わされず、積極的に融資を行ってくれる金融機関を選びましょう。
金融機関の情報をお持ちでなければ、日本政策金融公庫→信用金庫(組合)→地銀→メガバンクの順であたってください。

3.金融機関と良好な関係を構築する
最大限の調達を行うためには、金融機関を味方につけることが必須です。
金融機関が好むのは、情報開示をしっかりと行える企業です。
試算表や資金繰り表をリアルタイムで作成し、定期的に提出することで、金融機関からの信頼は大きく高まります。

この程度の財務戦略を実践するだけでも金融機関の反応は大きく変わります。
資金調達は一発勝負ではありません。
お金を借りる時だけ対処するのではなく、戦略を持ち、日頃から資金調達に備えておくことをおすすめします。

札幌の税理士ブログ キャッシュフロー管理のポイント ...資金繰りを悪化させる具体例

言うまでもなく資金は最も重要な経営資源です。すべての社長様が、常に細心の注意を払って資金管理を行っていると思いますが、本日は、少しでも手元に資金を留まらせるための、資金
管理のポイントを解説します。

■ 請求漏れ(遅れ)の管理
請求が1日遅れるだけで、入金が1か月遅くなる場合があります。
また、請求金額のミスや、そもそも請求そのものを漏らしている場合もあります。
請求書には営業担当者も必ず押印する、2重チェックを徹底するなど、ミスを未然に防ぐ仕組み作りを行いましょう。
売上代金を最短で確実に回収することが、キャッシュフロー管理の基本です。

■ 販売先の与信管理
販売先の倒産による回収不能は資金繰りに致命的なダメージを与えます。
売上が苦しい時に飛びついた相手が・・・というケースも良くあります。
販売先の与信に不安を感じるなら、販売しないという勇気も時には必要です。
もしくは、原価分だけでも先に貰うなど、回収方法を工夫することも忘れないでください。

■ 回収遅延の管理
支払期日を守らない取引先を看過してはいけません。
自社の資金繰りに余裕があるとつい甘くなってしまいますが、ビジネスのルールを守れない相手とは付き合わない、という強い信念を持ちましょう。

■ 在庫の管理
モノが不足していた時代は在庫をたくさん保有している者が勝者でした。
現在はモノが余っています。
最後まで在庫を抱えている者が敗者となる「ババ抜き」にルールは変わっています。
ウィスキーのように時の経過とともに価値が高まるモノでない限り、在庫の数量は出来るだけ少なく維持し、モノよりもキャッシュで保有することを心掛けましょう。

■ 利益と取引条件の管理
1万円で買ってくれるA社と、9千円でしか買わないB社があります。
普通は高値で買ってくれるA社を重視するでしょうが、A社の支払いは3か月後、B社の支払いは即金、となれば慎重に検討する必要があります。
黒字でも倒産することがありますが、キャッシュがあれば赤字でも倒産はしません。
決して安売りを推奨している訳ではありませんが、回収までの期間が長い売上は、確実に資金繰りを悪化させます。
取引先の選定は、利益だけでなく取引条件にも着目して行いましょう。

■ 無駄な経費の管理
経費は放っておくと自然に膨らみますので、意識して厳しく管理する必要があります。
具体的には、売上高や粗利益に占める割合を決めておき、その範囲内に経費が収まっているかを毎月チェックしましょう。

順調に資金繰りが回っている企業様でも、ちょっとしたきっかけで歯車が狂うことがあります。
しかし、大きな事故が起きる前には必ず予兆が現れます。経理事務にミスが多い、無理な押し込み営業が常態化している、顧客と馴れ合いになっている・・・資金繰りは失敗したと気づいた時には既に手遅れです。
サインを見落とさないよう、毎月しっかりと管理しましょう。

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