「2015年11月」のブログ記事

札幌の税理士ブログ ザ・地方公会計 その7 ~ 貸借対照表1 ~

まず貸借対照表の一つ目の特徴ですが、
科目の配列が「固定性配列法」によっております。

科目の配列は二種類あります。
流動性配列法と固定性配列法です。

流動性配列法とは、
流動性の高い資産(≒現金化しやすい資産、いわゆる流動資産)を先に配列し、その次に流動性の低い資産(固定資産)を配列する方法です。
多くの民間企業が、この方法によっております。

固定性配列法とは、
つまり上記の逆です。固定資産を先に配列し、その次に流動資産を配列します。
民間企業でこの方法を採用しているのは、電力会社やガス会社など、多額の固定資産を有する業種です。

地方自治体は、多くの固定資産を有しております。
建物(役場庁舎、公民館、校舎、体育館など)およびその敷地、道路など、挙げればキリがありません。
従って固定資産の存在に重きをおくため、固定性配列法を採用しております。

札幌の税理士ブログ ザ・地方公会計 その6 ~ 財務諸表の種類について ~

では具体的に、どのような財務諸表を作成するのでしょうか。

公会計では、次のように定められております。

1.貸借対照表
2.行政コスト計算書
3.純資産変動計算書
4.資金収支計算書
5.上記1~4の内容に関する明細

民間会計の財務諸表体系との比較は、次の通りです。

1.貸借対照表はほぼ全く同じ。
   … 科目の配置等が若干異なります。
2.民間でいうところの「損益計算書」が上記2と3に分かれます。
3.同じく「キャッシュフロー計算書」が上記4になります。

それぞれの詳細につきましては、次回以降に順次解説します。

札幌の税理士ブログ ザ・地方公会計 その5 ~ 官と民の会計スタンスの違い3 ~

三つ目の違い。

官は「現金主義」で、民は「発生主義」です。

現金主義とは、現金の増減のみをもって取引を認識することです。
家計簿はまさにこれです。

しかし、現金主義だと認識不可能な取引は山ほどあります。

例えば、地元の不動産を所有する住民が納付すべき固定資産税収入を、きちんと納付してくれなかった場合。
現金主義であれば、納付されなかったわけですから、取引として認識されません。

しかし、本来は納付されるべきものです。
自治体は、その住民に対して租税債権を有しております。
つまり未収収益として認識するのが本来あるべき姿ではないでしょうか。

また、職員の当月給与を翌月に支払うような場合。
現金主義であれば、支払った翌月に取引認識されます。

しかし、本来は当月の勤務にかかる費用ですから、当月分の未払い費用として認識すべきです。

このような未収・未払いの取引を認識するのが発生主義と呼ばれるものです。

そしてこれらの未収金・未払い金の残高は、貸借対照表で確認することができます。
住民から徴収すべき租税債権の滞納がかさむと、貸借対照表の未収債権残高がどんどん膨らみますので、資金繰り逼迫の原因をすぐ把握することが出来ます。
また債務の総額をきちんと把握することによって、その自治体の財政状態が健全であるか、それとも逼迫しているかが一目瞭然となります。

前回の話とかぶりますが、要は「貸借対照表」を重視した経営をすることによって、よりハイレベルな財務戦略を行うことができるのです。

札幌の税理士ブログ ザ・地方公会計 その4 ~ 官と民の会計スタンスの違い2 ~

二つ目の違い。

官は「単式簿記」、民は「複式簿記」です。

単式簿記とは、「一つだけの科目に的を絞り、その科目の増減のみ記録・集計する手法」のことです。
ここで言う「一つだけの科目」とは「現金」のことです。
現金出納帳を日々記録し、それを集計して決算を組みます。

要するに、家計簿のようなイメージです。

単式簿記の問題点は多々ありますが、その最たるものの一つとして「現金以外の全取引を多面的・立体的に把握することが出来ない」ということが挙げられます。
多面的・立体的な把握とは、イコール貸借対照表を分析すること、これに尽きます。

民間企業では、その企業の財政状況の強固さ(脆弱さ)を判断するために貸借対照表が活用されます。一般的には損益計算書、つまり売上や利益の増減に目が行きがちですが、企業の財務基盤は最終的には貸借対照表に集約されます。

一に貸借対照表、二に貸借対照表、三泗がなくて五に損益計算書、なのです。

単式簿記では、それほど重要な貸借対照表を作成することは不可能です。

地方自治体の財務健全性を測るためには、まず何よりも自治体の貸借対照表を作成することです。
そのためには複式簿記の導入が必須なのです。

札幌の税理士ブログ ザ・地方公会計 その3 ~ 官と民の会計スタンスの違い1 ~

官と民の違いは色々ありますが、主なものをいくつか挙げます。

まず官は何と言っても「予算主義」です。

そもそも収入の大部分が「税金」「国からの交付金」など、いわゆる「天からの授かりもの」でありますので、一円たりとも無駄に使ってはならない、という大前提があります。

よって、使う前にまずその使い道を「予算」という形でしっかりと計画立て、その予算通りにお金を使うことを重視します。

その一方、民には正式な制度としての「予算」というものがありません。
経営上の重要戦略としては存在しますが、あくまでも任意であり、予算を作らない「どんぶり経営」を行っている会社は山ほど存在します。
「自分で設けたカネを好きに使って何が悪い」ということです。

上記は少々乱暴な分け方であり、その中間も存在します。
社会福祉法人やNPO法人など、いわゆる非営利的な公益法人としてのカテゴリーに属する法人です。
これらの法人は官ではなく民ではありますが、寄付金などを収入源としていることが多いため、官に近い予算主義となっております。

また株式会社など純然たる民であっても、例えば株主など利害関係者が多く存在する場合には、カネの使い道は厳しくチェックされますので、予算の作成を要求されることは珍しくありません。

このような例外はありますが、いずれにしても原則論としては「官は予算主義(民はそうでもない)」ということは間違いなく言えましょう。

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