はじめに

非営利法人とは

非営利法人とは、その名の通り「営利を目的としない法人」のことであり、この場合における営利とは「その法人が行った事業によって得た利益を最終的に出資者等に分配すること」をいいます。

つまり「事業の利益を出すか否か」ではなく「利益を分配するか否か」によって営利と非営利の分類がなされるのです。極端な言い方をすれば、毎年多額の利益を計上する事業を行っている法人であっても、その利益が出資者等に対して配当等の形式で分配されないよう定款等で規定されていれば、その組織は「非営利法人」となります。
そして更に非営利法人は、次の二つに分類されます。

01:公益(不特定多数の人々に恩恵をもたらす行為)を目的とする法人
02:共益(特定の会員等に限定して恩恵をもたらす行為)を目的とする法人

ただし上記の分類は必ずしも明確になされるものではなく、現実的には公益活動と共益活動のいずれも行っている法人が多いと思われます。その法人の存在意義及び実質的な事業内容が、公益・共益のいずれに比重を置いているかが分類のポイントとなります。

法人税法における取扱い

(1)「公益法人等」の定義

このような非営利活動を行う法人等に対して、通常の営利法人等と同じく税金を課すことは、社会通念上好ましくないという考えもあるため、法人税法においては次の通り規定されております。

(公益法人等の収益事業課税)
第4条:内国法人は、この法律により、法人税を納める義務がある。ただし、公益法人等…(中略)…については、収益事業を行う場合…(中略)…に限る。

(公益法人等のみなし寄付金)
第37条5項:公益法人等がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額(カッコ内省略)は、その収益事業に係る寄附金の額とみなして…(後略)。

ここでいう公益法人等とは、法人税法別表第二に掲げる法人であり、例えば次のようなものが該当します。

【公益法人等の具体例(法人税法別表第二より一部抜粋)】

一般財団法人(非営利型法人に該当するものに限る。)、一般社団法人(非営利型法人に該当するものに限る。)、社会医療法人、学校法人、公益財団法人、公益社団法人、社会福祉法人、宗教法人など。

※ NPO法人に関する規定
NPO法人は同法別表に掲げられておりませんが、特定非営利活動促進法第46条において「(法人税法に規定する)公益法人等とみなす」とされております。

また、収益事業とは「販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるもの(同法第2条第13項)」をいい、同法施行令第5条第1項に34事業が列挙されております。

【収益事業(法人税施行令第5条第1項より抜粋)】
物品販売業、不動産販売業、金融貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業その他の飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、技芸教授を行う事業、駐車場業、信用保証業、無体財産権の提供等を行う事業、労働者派遣業

【収益事業に含まれないもの(法人税施行令第5条第2項より抜粋)】

1. 公益社団・財団法人が行う上記事業のうち、公益認定法に規定する「公益目的事業」に該当するもの。

2. 上記事業のうち、その事業に従事する次に掲げる者が従事者総数の半数以上を占め、かつ、その事業がこれらの者の生活の保護に寄与しているもの。

・身体障害者福祉法に規定する身体障害者
・生活保護法の規定により生活扶助を受ける者
・知的障害者
・精神障害者
・年齢六十五歳以上の者
・一定の母子家庭の母、寡婦

その他、法人税基本通達において次の通り規定されております。

・事業場を設けて行われるもの
15-1-4 法第2条第13号《収益事業の意義》の「事業場を設けて行われるもの」には、常時店舗、事務所等事業活動の拠点となる一定の場所を設けてその事業を行うもののほか、必要に応じて随時その事業活動のための場所を設け、又は既存の施設を利用してその事業活動を行うものが含まれる。したがって、移動販売、移動演劇興行等のようにその事業活動を行う場所が転々と移動するものであっても、「事業場を設けて行われるもの」に該当する。

・継続して行われるもの
15-1-5 法第2条第13号《収益事業の意義》の「継続して・・・行われるもの」には、各事業年度の全期間を通じて継続して事業活動を行うもののほか、次のようなものが含まれることに留意する。

(1) 例えば土地の造成及び分譲、全集又は事典の出版等のように、通常一の事業計画に基づく事業の遂行に相当期間を要するもの
(2) 例えば海水浴場における席貸し等又は縁日における物品販売のように、通常相当期間にわたって継続して行われるもの又は定期的に、若しくは不定期に反復して行われるもの

(注) 公益法人等が令第5条第1項各号《収益事業の範囲》に掲げる事業のいずれかに該当する事業(以下「特掲事業」という。)とこれに類似する事業で特掲事業に該当しないものとを行っている場合には、その行う特掲事業が継続して行われているかどうかは、これらの事業が全体として継続して行われているかどうかを勘案して判定する。

(2)法人税の課税

・公益法人等は、原則として「収益事業」に該当する事業から生じる所得に対してのみ法人税を納める義務があります。

・この場合における「収益事業」の定義は上記の通りでありますので、例えば公益法人関連法における「収益事業等」、社会福祉法人関連法における「収益事業」等とは定義が全く異なりますので、混同しないよう注意する必要があります。

・なお一般財団法人及び一般社団法人については、(1)定款において剰余金の分配を禁止し、かつ残余財産の帰属先を国や地方公共団体等としていること、(2)一部の理事等による同族経営でないこと、(3)収益事業を主たる事業目的としていないこと、など一定の要件に該当する法人についてのみ「非営利型法人」として収益事業該当する事業から生じる所得に対してのみ法人税が課されます。非営利法人に該当しない法人は全ての所得に対して法人税が課されます。

(1)社団法人・財団法人

  公益財団法人
公益社団法人
一般財団法人・一般社団法人 特例民法法人
非営利型法人 通常の法人

課税所得の範囲

・収益事業から生じた所得に対して課税

・公益目的事業は非課税
収益事業から生じた所得に対して課税 すべての所得に対して課税 収益事業から生じた所得に対して課税

30%
(所得金額年800万円以下の金額は18%)

22%
(所得金額年800万円以下の金額は18%)

(2) 社会福祉法人

  社会福祉事業 公益事業 収益事業

課税所得の範囲

原則として非課税
(個別に検討を要する)
収益事業から生じた所得に対して課税 収益事業から生じた所得に対して課税

法人税率

22%
(所得金額年800万円以下の金額は18%)

(3) 社会医療法人、学校法人、宗教法人、NPO法人など

課税所得の範囲

収益事業から生じた所得に対して課税

法人税率

22%(所得金額年800万円以下の金額は18%)

はじめに

会計基準・税務規定

寄附を受ける為に

実費弁償方式の業務

土地収用等の特別控除