相続・個人資産〜資産税に強い税理士の存在

クライアント企業様が弊社と顧問契約を締結して頂く理由として最も多いものの一つに、「代表者の世代交代に伴い、後継者と年齢の近い税理士に変更したかった」という理由が挙げられます。
つまり、この記事を書いている時点で、所長である私(前島)の年齢は42歳。世代交代を考えてらっしゃる創業者様の年齢が60代後半〜70代であれば、その後継者様はちょうど私と同じ位の年齢になります。
創業者様の引退に伴い、その年齢層を同じくするブレーン(既存の顧問税理士など)も一緒に引退して頂く。そして今後は後継者様と同世代のブレーンで身を固めさせ、二代目経営者として経営しやすい環境をセッティングする。これは極めて賢明なご判断であると思います。


ところで、巷で「事業承継」というテーマが大きく取り上げられるようになって久しいですが、事業承継というものは単に「代表取締役の座を交代すればよい」というものではありません。
税理士の視点から申し上げますと、特に注視して頂きたい事柄は少なくとも二点ございます。まず一点は、後継者様に「財務」を理解して頂くことです。大抵の場合、後継者様が今まで辿ってきた道は、その仕事の現場、最前線です。現場を知らなければ仕事になりませんし、会社のトップの座に座る資格もありません。それはそれで正しいのですが、その代償として会社の決算を読み込んだり、資金繰りを考えたり、取引銀行と交渉したりする経験をあまり踏んでこなかった後継者様が多くいらっしゃいます。
従って今後は、一人前の経営者として会社を引っ張っていくために、月次試算表として年次決算書を読みこなす能力、未来の資金繰りを見通す能力、それらの数値を元に取引銀行と融資交渉する能力等を急ピッチで備える必要があり、その片腕として税理士の果たす役割は大きなものとなります。


そして二点目は、株式の承継です。特に中小企業というものは、株式を承継しなければ真の経営者足り得ません。後継者に対して如何に上手く株式を承継するか。ここで税務上の問題が生じます。
一つ目の問題は、株式の時価評価額です。創業者様の長年に渡る頑張りで、株式の評価額が極めて高くなっているケースがあります。資本金の額は1,000万円であったとしても、会社の内部留保、つまり創業時から今までの利益の蓄積が大きいと、その株式の時価は何倍、何十倍にも膨れ上がっている可能性があります。これを一度にまとめて後継者様に贈与すると、多額の贈与税が発生してしまいます。
二つ目の問題は、相続における遺留分です。創業者様の子が複数存在する場合、子にはそれぞれ「遺留分」、つまり最低限相続できる権利というものがあります。我が国の中小企業の創業者様の典型的なパターンとして、全財産に占める自社株式の割合が極めて高い、という事例が多くございます。つまり後継者様に自社株式を全て渡してしまうと、他の子の遺留分を侵害してしまうことになり、相続争いに発展してしまう可能性があります。
会社で一番偉い存在は、株主です。後継者以外の人に株式が渡ってしまうと、あれこれと口出しをされて後継者様の経営に支障をきたす可能性もあります。


この問題を回避するための手段として、例えば次のような方法が考えられます。

  • (1)代償分割を活用する方法

    株式は後継者が相続する代わりに、他の子に対しては遺留分に見合った現金(代償金)を渡す。当然その後継者が代償金に相当する現金を用意する必要がある。早いうちから役員報酬を多めに受け取って手持ち現金を増やすか、または金融機関から個人的に融資を受ける。あるいは生命保険金を活用する方法が考えられる。生命保険金は相続財産とはならないので、遺留分の算定対象から除外される。よって後継者を生命保険金の受取人として、その受取保険金を代償金の支払原資とする。

  • (2)種類株式を活用する方法

    創業者が健在なうちに定款変更し、種類株式を発行する。
    一つ目の方法として、配当優先無議決権株式を発行し、その株式を後継者でない他の子に相続させる。そうすればその株式は議決権を有しないので、経営に参画することはできず、後継者の経営に支障をきたさない。
    二つ目の方法として、取得条項付株式を発行し、その後継者でない他の子に相続させる。そうすれば会社側がいつでもその株式を買い取ることができる。

  • (3)信託を活用する方法

    創業者を委託者兼受益者、後継者を受託者として株式を信託する。創業者の死亡後、その株式が複数の子に分散したとしても、受託者たる後継者が議決権を行使できるようにしておけば、他の子らは事実上経営に参画することができない。

上記のいずれも、結局のところは創業者様がお元気なうちに、自らの意志で定款の変更、遺言の作成、信託契約の締結などを決断して実行する必要があります。
そのためには、相続そして資産税全般に精通したブレーンが必須となります。
弊社は、相続税申告、贈与税申告、自社株式や不動産など各種財産の相続税基本通達等に基づく時価評価、相続税対策の立案、遺言書の作成などに関して数多くの経験と知識を有しております。また同フロアには弁護士法人、司法書士法人が在籍しており、相続問題全般に関して横断的に対応できる体制が整っております。
弊社は、創業者様そして後継者様の良きアドバイザーとして、最も効果的な事業承継スキームを立案し、かつその実現に向けてお客様と共に歩んでいきたい所存でございます。

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